パトロール

先日、生まれてから大学を卒業するまで20年以上

住んで、慣れ親しんだ藤沢駅を、一人でぶらついた。

 

私は、誰かと繋がっていないと一人で孤独に死ぬんじゃないかと思う心があって、最近はスマートフォンというギズモに支配されていることに気づく。今更気づくことではないが、このギズモの扱いを、もう少し上手にならないといけないと思って、時々スマートフォンの電源を切って一人で「パトロール」と名付ける散歩をしている。

 

藤沢駅をパトロールしてみた。

 

食材の買い物や、「おばあちゃんや、ママのデパート」だと思っていた小田急百貨店は健在、「わたしのデパート」と思っていたマルイは、ビックカメラに変わっていた。

 

高校時代にお世話になったケンタッキーや、マクドナルド、ファーストキッチンや、サブウェイや、ラーメン屋は健在していて、でも自分自身 歳をとったので、その中で行く気になるのはサブウェイくらいであることに気づいて、サブウェイに入った。

 

パトロール中には、音楽を聴くこともあるし、無音で歩き続けて、景色を眺めることもある。最近は、自分の作品の制作中であるからして、ラフミックスを聞きすぎている。藤沢駅パトロール中に選んだ音楽は「無音」だった。

 

 

そろそろ携帯電話の電源を入れて、場所を変えようかと思いながら、歩道橋を歩くと、少なくとも私が物心ついた5歳くらいの時から、フルートを吹いてるおじさんが、全く同じ場所(路上)でフルートを吹いている。小学校の時も、中学校のときも、高校のときも、大学に入っても、「ずーっと同じところでフルートふいてるんだな」と関心した記憶があるが、この人は、すくなくとも25年以上、ここでフルートを吹いている。

 

携帯電話の電源をまだいれていないので、写真をとってSNSにあげたり、友達や家族に、そのフルートおじさんの写真を共有することはせぬまま、歩き続けると、帽子をかぶって、大きな声で叫びながら歩く男性。特別支援学校の方である。彼はいつも、同じ場所で同じように叫びながら歩いていた。私が中学生の時からの記憶である。そして、その日も同じ場所でおなじように歩いていた。もちろん少し老けていた。

 

自分も歳をとった。

と思いながら、まるでタイムマシンに乗ったかとも思わせるパトロールであった。

 

いよいよ、レコーディングが、3月1日に終わる。